ベトナムでも日本のODAによる地下鉄事業が進んでいます。(ベトナム、カンボジア編)


前回はインドネシアとフィリピンで日本のODAによる地下鉄事業が進んでいるというお話をしました。

ジャカルタでインドネシア初の地下鉄が開業。日本のODAによる東南アジア鉄道事業も進んでいます。(インドネシア、フィリピン編)

 

ベトナムのホーチミン市で日本のODAによる地下鉄事業が進んでいます。

ベトナムはカンボジアと同様に、東南アジアの過去10年間で約7%のGDP成長率を達成している国の一つです。 

ベトナムでも外資企業誘致のために、経済特区や工業団地の開発などに積極的な投資をおこなってきており、日本や中国などの大手商社やデベロッパーが多く進出してきてます。

しかし急成長しているこの国もインフラ整備に関しては遅れをとっているのが現状です。

インフラ整備の遅れによる交通渋滞や大気汚染を解決するため、ホーチミン市に日本の政府開発援助(ODA)の円借款貸付によって地下鉄を建設しています。

ホーチミン市は、人口が約850万人以上いる東南アジアでも有数のグローバル都市です。

そこにメトロ1号線と呼ばれる地下鉄が走ります。
総延長19.7kmで、高架式17.1km区間とホーチミン市中心部の地下区間2.6kmで構成されています。

総事業費は約1,300億円と見込まれています。

しかし当初1,300億円といわれた総事業費が、コンサルティング会社の再見積もりでは2,900億円まで膨れ上がり、工事代金未払いなどの問題が出てきています。
その影響でメトロプロジェクトは一時停止するなど大きな問題に直面しています。

いまのところ地下鉄は2020年10月に開業予定といわれています。

カンボジアではモノレールプロジェクトを実現させるためJICAの調査が進んでいます。

カンボジアでもプノンペン中心部での鉄道事業を進めようとしています。

これは2014年に発表されたプノンペン都市交通マスタープランに基づいたものになります。

このマスタープランには内環状線、外環状線、メコン川架橋、鉄道のプランが記されていますが、これからプノンペン都の交通についての課題も書かれています。

プノンペンとの交通課題
・悪化する交通事情
・中心部や郊外道路の不整備
・公共交通システムがない
・大型トラックに依存している貨物輸送
・大気汚染など都市環境の悪化 

短期的な解決方針といて、公共バス網の構築をおこないます。

公共バスについては、日本や中国のODAですでに運用が開始され、2018年の時点で8路線となっています。

バスアプリや、モバイル決済など先進国並みの公共サービスを展開し、多くの都民や観光客が利用しています。

中期的な解決方法として、既存鉄道路線を通勤・観光用へ一部転用します。

これは2018年に開業したロイヤル・レイルウェイにあたります。

プノンペンロイヤル駅からプノンペン国際空港までをはしりますが、西部エリアのバッタンバンやポイペト路線や、南部エリアのカンポットやシアヌークビル路線の一部を通勤・観光用として併用しています。

長期的な解決方法として、プノンペン中心部と西部エリア(国際空港エリア)を結ぶ鉄道網を整備します。

下図にある1号線と呼ばれる鉄道は、既存の道路上に高架式環状モノレールを建設し、市街地の進んでいる西部エリアより中心地までの公共交通機関を構築していくものです。

2号線はトラム式(路面電車)を予定しています。

2025年までの運用を目指すべく、2015年よりJICAが調査しています。


マスタープラン(都市開発計画)作成の重要性

これまでインドネシア、フィリピン、ベトナム、カンボジアと紹介してきましたが、新興国と呼ばれる国が経済発展していく際に、かならずインフラ整備という壁に当たるということがわかりました。

道路、鉄道、電力、上水道などインフラ整備には多額の資金が必要ですが、新興国政府だけではまかないきれていないのが現状です。

しかし、これらを整備しなければ社会と生活の基盤となるインフラが足りなくなり、経済の成長を阻害させてしまいます。

それらを無くすためにも、日本や中国のODA、アジア投資銀行、世界銀行からの支援が必要なのだと思います。

資金支援の他にもうひとつ大事なことがあります。

それは都市開発計画(マスタープラン)の作成と実行です。

たとえば交通インフラ整備で資金力の足りない新興国では、鉄道網より先に道路網整備をおこないます。
それは建設費用や工事期間、経済への即効性からきています。

鉄道網整備には線路敷設、鉄道購入、駅の設置、管理システムの構築など多額の費用と時間がかかるのに対して、道路網整備の場合には最低限舗装(コンクリート、砂利舗装など)さえすれば、すぐにでも車やトラックの通行ができるようになります。
そのため道路網整備が優先されてしまいます。
(※架橋工事やトンネル工事も建設費用がかかるため後回しですね。)

道路網が整備され、その新興国が急激に成長してたとき、中心地の交通渋滞が酷くなることで鉄道網や高速道路網の整備を始めようとしますが、その頃には建設地の取得や工事そのものが困難になることが多いです。

そういったことからも早い段階からのマスタープラン作成と実行は大事なのだと思います。

カンボジアは経済成長が著しい国ですが、いま現在も環状道路や高速道路の建設、バスや鉄道の整備など様々な計画と建設が始まっていますので、これからどのような都市の姿を見せてくれるのか楽しみですね。

 

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